形を変えるアンテナ――MITが開発した次世代通信とセンシングの鍵

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伸ばす、曲げる、縮める。新しい「メタアンテナ」が通信とセンシングの常識を覆す。

2025年8月18日、MITの研究チームは、物理的な形を変えることで周波数帯域を自在に調整できるリコンフィギュラブル(再構成可能)アンテナを発表しました。このアンテナは従来の固定的な構造とは異なり、伸ばしたり縮めたりすることで放射特性を切り替え、複雑な機構を使わずに幅広い周波数範囲で動作できる点が大きな特徴です。

研究に使われたのは「メタマテリアル」と呼ばれる人工構造体で、その幾何学的配置を変えることで剛性や形状が自在に変化します。この技術を活用した「メタアンテナ」は、周波数の変化を利用してセンシングにも応用可能です。たとえば人の胸の膨らみを検出して呼吸をモニタリングするような用途にも展開できるとされています。

製作にはレーザーカッターと導電性塗料を使い、シンプルながら柔軟性の高い構造を実現しました。さらに、ヒンジ部分を保護するためにアクリル塗料を組み合わせることで、1万回以上の変形に耐える耐久性を確保しています。研究チームはユーザー自身がアンテナを設計できる編集ツールも開発しており、希望のサイズや厚み、形状を入力すると自動で周波数シミュレーションが行える仕組みになっています。

すでに応用例として、光を調整するカーテンや、ノイズキャンセリングと外音取り込みを切り替えられるヘッドホンなどが試作されています。これらはアンテナがわずか数パーセントの周波数変化を起こすことで機能を切り替える仕組みです。将来的には、衣服に組み込んでバイオメディカルセンサー温度モニタリングに活用することも視野に入れられています。

この技術が広がれば、複数のアンテナを搭載する必要がなくなり、ウェアラブル機器、拡張現実、次世代通信といった分野に大きなインパクトをもたらすでしょう。今後は三次元構造のメタアンテナ開発や、さらなる耐久性と柔軟性の向上が期待されています。

重要キーワード3つの解説

  • メタマテリアル
    自然界には存在しない特性を持つように設計された人工素材。配置パターンを変えることで剛性や形状が変わり、アンテナの周波数調整に応用できる。
  • リコンフィギュラブルアンテナ
    構造を変形させることで放射特性を変えられるアンテナ。幅広い周波数帯に対応でき、通信やセンシングに柔軟性を与える。
  • 共振周波数
    アンテナが最も効率的に信号を送受信できる周波数。形状を変えることで共振周波数が変化し、それをセンシングにも利用できる。

A shape-changing antenna for more versatile sensing and communication

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