車は走るスマホに。Qualcommが仕掛ける自動運転プラットフォームの拡大

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米Qualcommは、ドイツのBMWと新しい自動運転システムを発表した直後、フランスのValeoとの協業強化も明らかにしました。

BMWとの取り組みは3年にわたる共同開発の成果で、新型BMW iX3に搭載される「Snapdragon Ride Pilot」として結実しました。このシステムは高速道路でのハンズフリー走行や自動車線変更、都市部での運転支援などを可能にし、すでに60カ国で認証済み。今後100カ国以上で利用できる予定です。クラウドとつながることで継続的に進化し、常に最新の機能と安全性を提供できる点も特徴です。しかもこれはBMW専用ではなく、世界中の自動車メーカーやサプライヤーにも提供される予定で、市場全体に広がる可能性を秘めています。

Valeoとの協業では、Qualcommの半導体チップ「Snapdragon Ride」とソフトウェアを、Valeoが持つセンサーや自動駐車アルゴリズムと統合。自動車メーカーは複雑な開発を自前で行わなくても、完成度の高い“頭脳”を丸ごと導入できるようになります。開発期間を短縮でき、安全性やセキュリティも確保された状態で市場投入できるのは大きな利点です。さらに、運転支援とカーナビやエンタメといった車内システムを同じチップで処理できるため、車両設計そのものもシンプルになります。

この二つの発表を合わせて見ると、Qualcommの戦略の強さが際立ちます。BMWのようなプレミアムメーカーと組んで最先端技術を実車に実装し信頼性を示す一方で、Valeoのような部品大手と協力してパッケージ化したシステムを広く提供する。ハイエンドから量産までカバーする両面のアプローチで、Qualcommは「チップメーカー」を超えて、自動車の頭脳を提供するプラットフォーマーの地位を固めつつあります。スマートフォン時代に築いた成功モデルを自動車に持ち込み、ソフトウェア定義車の普及をけん引しようとする同社の姿勢が鮮明になっています。

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