Volkswagen Group、AWSと共に「工場のクラウド化」でAI時代の生産革新へ

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43拠点をつなぐデジタル基盤「Digital Production Platform」が、自動車生産を効率化・柔軟化し、次世代ソフトウェア定義型車両への布石に

Volkswagen Groupは、Amazon Web Services(AWS)と共同で進めてきた「Digital Production Platform(DPP)」の協力関係をさらに5年間延長しました。DPPとは、Volkswagenが「工場のクラウド」と呼ぶデジタル基盤で、すでに世界43の工場が接続されています。これにより、生産現場ではAIや最新のITシステムを横断的に活用できるようになり、効率化や柔軟な生産体制の構築が進んでいます。

この仕組みを通じて、ITシステムの導入や運用コストが削減されるだけでなく、部品の組立や品質管理の現場でリアルタイムの画像解析が可能となり、不具合の早期発見や予防保全にもつながっています。さらに、AWSの強力なクラウド基盤により、生産ラインの停止リスクを下げながら、工場ごとに異なるシステムを共通化し、すでに数千万ユーロ規模のコスト削減効果が出ています。

また、DPPはAI活用の基盤としても重要です。Volkswagenはすでに1,200以上のAIアプリケーションを展開しており、製造の効率化や品質向上だけでなく、ポーランド・ポズナン工場では電力消費の最適化にもAIを導入し、エネルギーコストを12%削減する成果を上げています。

今後の大きな展開として注目されるのが「ソフトウェア定義型車両(SDV)」です。自動車の多くの機能がソフトウェアによって制御・更新される次世代モデルにおいて、DPPは製造段階でのソフトウェア導入を可能にし、開発と生産をより密接につなげる役割を担います。これは、Rivianとの合弁事業とも連動し、将来的にはVolkswagenのすべての車両製造に直結する重要な基盤となるでしょう。

このように、VolkswagenとAWSの取り組みは単なる生産効率化にとどまらず、自動車産業全体のデジタル化や標準化に大きなインパクトを与える可能性を秘めています。

重要キーワード3つの解説

  • Digital Production Platform(DPP)
    Volkswagenが開発する「工場のクラウド」。製造拠点をクラウド上でつなぎ、AIやデータ活用を一元的に行う仕組み。
  • ソフトウェア定義型車両(SDV)
    車両の機能や性能をソフトウェアによって更新・拡張できる次世代の自動車。スマホのようにアップデート可能なのが特徴。
  • AWSのクラウド基盤
    高い可用性と拡張性を持つクラウドサービス。Volkswagenはこれを活用して、生産システムの安定稼働や標準化を実現している。

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