インド政府は2025年8月、インド半導体ミッション(ISM)の一環として、総額約530百万ドル(約460億ルピー)にのぼる4件の新規半導体プロジェクトを承認しました。これにより、すでに進行中の6件と合わせて、インド国内での承認済み半導体関連プロジェクトは累計190億ドル規模に達します。
今回承認されたのは、SiCSem、CDIL(Continental Device India Limited)、3D Glass Solutions、ASIP Technologiesの4社です。
- SiCSemは、英国Clas-SiC Wafer Fabとの提携により、インド初の商用SiC(シリコンカーバイド)化合物半導体ファブを設立。年間6万枚のウェーハ処理能力と9,600万ユニットのパッケージング能力を持つ予定です。
- 3D Glass Solutionsは、ガラス基板を用いた先進パッケージング・組込み技術拠点を設立。年間約69,600枚のガラス基板と5,000万ユニットの組立製品を生産する計画です。
- ASIP Technologiesは、韓国APACTとの技術提携で、年間9,600万ユニット規模の製造工場をアンドラプラデシュに設立。
- CDILは、モハリの既存工場を拡張し、MOSFETやIGBT、ショットキーダイオードなど高出力半導体デバイスを年間1億5,838万ユニット製造できる体制を構築します。
政府発表によると、この4件の新プロジェクトで2,034人の熟練雇用が直接創出される見込みで、周辺産業も含めて多くの間接雇用が期待されています。
重要キーワード3つの解説
- インド半導体ミッション(ISM)
2021年に開始された政府主導の半導体振興プログラム。製造、設計、パッケージングの支援を通じて、インド国内に強固な半導体エコシステムを築くことを目的としています。 - SiC(シリコンカーバイド)化合物半導体
電力効率と耐熱性に優れた次世代半導体素材。電気自動車や再生可能エネルギー分野で需要が急増しており、インド初のSiCファブ設立は大きな転換点となります。 - 先進パッケージング技術
半導体性能を最大限に引き出すための実装技術。ガラス基板や3D集積技術などを用い、小型化・高効率化を実現します。3D Glass Solutionsの拠点設立はインドに新たな技術基盤をもたらします。
今後の展開とインパクト
今回の承認は、インドが世界的な半導体サプライチェーンにおける存在感を強める大きな一歩です。特にSiCファブや先進パッケージング拠点の設立は、電気自動車やグリーンエネルギーといった成長分野への波及効果が期待されます。また、CDILやASIPの取り組みにより、国内メーカーの技術力向上と生産能力強化も進みます。
今後、インドはアジアの新たな半導体製造拠点としての地位を確立し、雇用創出・技術革新・サプライチェーンの多様化に大きなインパクトを与える可能性があります。