ADASから照明制御まで幅広く対応、保護機能と低EMI設計で信頼性を強化
Diodes Incorporated(Nasdaq: DIOD)は、自動車向け48V低電圧レールPoL(Point-of-Load)用途に対応した非同期降圧コンバータ4製品を発表しました。新製品はAP68255Q/AP68355QおよびAP6A255Q/AP6A355Qで、いずれも内蔵の500mΩパワーMOSFETにより、最大3.5Aの連続出力電流を高効率で供給可能です。入力範囲は5.5V~80V/100Vと広く、ロードダンプ(車載電源のサージ)にも対応しています。
適用分野は48Vモータ制御、ADAS、テレマティクス、インフォテインメント、ボディ制御、計器クラスタ、照明システムなど幅広く、車載電子機器の電源設計を支える存在となります。
新製品は定オン時間(COT)制御方式を採用しており、約300kHzのほぼ一定のスイッチング周波数を維持。これにより、応答性の高い負荷/ライン過渡特性、ループ安定化の容易さ、低出力リップルを実現し、外付け部品を削減できます。さらに独自のゲートドライバ設計により、MOSFETスイッチングで発生しがちな高周波EMIノイズを抑制しています。
保護機能も充実しており、過電流保護(OCP)は周波数フォールドバックモードと組み合わせることで高負荷時でも発熱を抑制。過温度保護(OTP)は160℃で出力を遮断し、140℃以下に低下すると自動復帰する仕組みを備えています。これにより、システムの信頼性と安全性を確保しています。
製品はSO-8EPパッケージで供給され、動作温度範囲は-40℃~+125℃。価格は1,000個ロット時で$0.80から$0.96と競争力のある水準に設定されています。さらに産業・商業向けの標準バージョンも提供予定です。
Diodes社は今後も、自動車用電源をはじめとする高成長分野において、省スペース・高効率・高信頼性のソリューションを提供し続けるとしています。
重要キーワード
- 非同期降圧コンバータ(Asynchronous Buck Converter)
高電圧を低電圧へ効率的に変換する回路。外付けダイオードを用いるシンプルな構造が特徴。 - COT制御(Constant On-Time)
一定のオン時間で制御する方式。応答性が速く、出力リップルを抑えやすい。外付け部品が少なく済むメリットがある。 - ロードダンプ耐性
車載システムでバッテリー切断時に発生する高電圧サージに耐えられる性能。信頼性の高い車載電子機器に必須。 - PoL(Point-of-Load):機器の近くで必要な電圧を作る電源方式。