自動運転を支える新しい光源 ― VCSELが変えるLiDARの未来

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小型・省エネ・高精度を兼ね備えたレーザーが、自動車業界に新しい波をもたらす

VCSEL(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)は、半導体の表面から光を発射するタイプのレーザーです。従来の端面発射型レーザーと違い、基板上に多数を並列で作り込めるため、低コストかつ量産性に優れるのが大きな特徴です。さらに光のビームは円形で広がりが少なく、消費電力も小さいため、スマートフォンの顔認証やLiDARスキャナなど、身近な製品にすでに使われています。

この技術が次に注目されているのが自動運転分野です。カメラは暗所や悪天候に弱く、レーダーは距離検知に優れるものの解像度が不十分です。その点、LiDARは高精度な3Dマップを生成できるため、自動運転に欠かせないセンサーとされています。そしてその光源として最適なのがVCSELです。小型で省エネ、かつアレイ構造によって広視野と高解像度を同時に実現できるため、従来のセンサーでは難しかった課題を解決します。

これは単なる部品技術ではなく、自動車業界の新しい市場機会を生み出す中核技術です。VCSELの量産性やコスト競争力は、自動車メーカーやサプライヤーにとって「導入のしやすさ」に直結します。さらに、将来的にはスマートシティのインフラ、ロボット、セキュリティ分野にまで展開が期待されており、広範囲な産業での採用チャンスがあります。

現在は、複数のVCSELを束ねて動かすための回路設計も進化しており、次世代のLiDAR向け試作が始まっています。今後この技術が成熟すれば、自動運転の安全性が飛躍的に向上し、モビリティ産業全体の競争力強化につながるでしょう。

重要キーワード3つの解説

  • VCSEL:垂直共振器型表面発光レーザー。量産性が高く、省エネで高精度な光を提供。
  • LiDAR:レーザーを用いて高精度3Dマップを作るセンサー。自動運転の「目」にあたる。
  • アレイ構造:複数のVCSELをまとめることで、広い視野と高解像度の検出を可能にする仕組み。

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