フランス発の自動車部品大手が中国で生産体制を強化、次世代モビリティ市場をリードへ
Valeo(ヴァレオ) はフランス・パリに本社を置く世界的な自動車部品メーカーです。空調システム、電動化技術、照明、先進運転支援システム(ADAS)など幅広い分野で世界をリードしており、日本の自動車メーカーとも長年にわたって取引関係を持っています。
2025年8月29日、Valeoは中国・上海市嘉定区の外岡工業園区に新しい生産拠点を正式に開設しました。工場の規模は約 30,000㎡ におよび、ドメインコントローラーやADAS用センサー(LiDARを含む)の研究開発・生産 に特化しています。これらは「ソフトウェア定義型車両(SDV)」や自動運転レベル3以上を実現する上で欠かせない中核技術です。
Valeoは1994年に中国市場へ参入し、現在では深圳・広州・上海に統合型R&D・生産拠点を持ち、さらに武漢に独立した研究開発センターを設置しています。中国国内の従業員数は 18,000人以上 に達し、そのうち 4,500人がエンジニア として革新的な技術開発に従事しています。今年1月には深圳工場が 世界経済フォーラムとMcKinsey & Companyにより「Lighthouse Factory」に認定 され、中国が同社のイノベーション拠点として重要な役割を担っていることが示されました。
CEOのChristophe Périllat氏は「中国は世界の自動車イノベーションの中心であり、特に上海はSDVや電動化技術で先頭を走っている。今回の新工場は『Invent with China』戦略を体現し、中国の自動車産業の変革に積極的に関わる姿勢を示している」と述べています。
日本でも自動運転や電動化が急速に進む中、Valeoの動きは大きな意味を持ちます。フランス発のグローバル企業が中国を「開発の現場」と位置付ける姿勢は、日本の自動車産業にとっても競争環境の変化を示すシグナルであり、今後の提携や技術導入の可能性を探る上で注目すべき事例となるでしょう。
重要キーワード3つの解説
- Valeo(ヴァレオ):フランス・パリに本社を置く世界的自動車部品メーカー。空調、電動化、ADASなど幅広い分野で世界トップクラスの技術を持つ。
- ソフトウェア定義型車両(SDV):ハードウェアではなくソフトウェアによって車の機能を進化させる新しい概念。自動運転や新サービスの実装に不可欠。
- ADAS(Advanced Driving Assistance Systems):自動ブレーキ、車線維持支援など運転をサポートするシステム。自動運転の基盤技術として世界的に普及が進む。
