Wolfspeed、2025年度通期決算を発表 — 大幅赤字も再建計画進展へ

  • URLをコピーしました!

シリコンカーバイド(SiC)半導体のリーディング企業が、チャプター11(米国破産法)下で再建を進めながら将来の成長に備える。

2025年8月25日、米国ノースカロライナ州のWolfspeed(NYSE: WOLF)は2025年度第4四半期および通期の決算を発表しました。売上高は通期で7億5,800万ドルと前年比減少し、特に工場立ち上げコストや減損損失が響いたことでGAAPベースの最終赤字は16億ドル超に拡大しました。

第4四半期の売上は前年同期とほぼ横ばいの1億9,700万ドルでしたが、主力のMohawk Valley Fab(ニューヨーク州の新工場)が本格稼働を開始し、前年の4,100万ドルから9,410万ドルへと売上を倍増させました。一方で、稼働率が十分でないことによる生産効率の低さ(Underutilization Costs)が依然として収益を圧迫しています。

営業損益は通期で13億ドル超の赤字。特に3億5,920万ドルののれん減損再編費用4億1,800万ドルなど一時的要因が大きく響きました。非GAAPベースでは損失幅を縮小しており、通期のNon-GAAP EPSはマイナス3.32ドルと前年のマイナス2.59ドルから悪化したものの、調整後EBITDAの赤字幅は限定的でした。

同社は現在、米国連邦破産法第11章(Chapter 11)の適用下で再建を進めており、来月には裁判所による再建計画の承認を目指しています。CEOのRobert Feurle氏は「再建完了後には財務体質を強化し、シリコンカーバイド技術のグローバルリーダーとしての地位をさらに高める」と述べています。

シリコンカーバイド(SiC)はEV(電気自動車)や再生可能エネルギー、データセンター用電源などで急速に需要が高まっている分野です。Wolfspeedの再建が順調に進めば、世界的なEV普及や電力効率化の流れの中で大きなインパクトを持つ可能性があります。

重要キーワードの解説

  • Silicon Carbide(シリコンカーバイド、SiC)
    従来のシリコン半導体よりも高耐圧・高効率で、EVのインバーターや急速充電器に不可欠な次世代材料。
  • Chapter 11(米国破産法第11章)
    企業が事業を継続しながら再建を図るための法的手続き。負債を整理しつつ、株主・債権者と調整を進める枠組み。
  • Underutilization Costs(稼働率不足コスト)
    新工場がフル生産に至る前に発生する固定費の負担。Wolfspeedではこれが利益率を大きく押し下げている。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!