旭化成、PFASフリー素材 「燃やさない」「捨てない」ものづくりへ─世界に見せる技術革命

  • URLをコピーしました!

ドイツ・デュッセルドルフで開催される世界最大のプラスチック見本市で、旭化成が次世代素材と循環型技術を披露

2025年10月、ドイツで開催される世界最大級のプラスチックとゴムの国際見本市「K 2025」にて、Asahi Kasei(旭化成)が世界に向けて大きな一歩を踏み出します。環境問題が深刻化し、企業に対しても「持続可能なものづくり」が強く求められる中、旭化成が発表するのは、これまで誰も実現できなかった2つの革新的な技術です。

1つ目は、高級素材として知られる炭素繊維(カーボン)を“切らずに”再利用できる世界初のリサイクル技術。これまでカーボン素材は、役目を終えると“細かく切る”か“燃やす”しかなく、高価な素材にもかかわらず再利用が難しいのが課題でした。ところが旭化成は、独自の薬液処理で、使い終わった自動車部品などから炭素繊維を「元の状態」のまま取り出すことに成功。しかも繰り返し再利用ができるため、高性能な製品を無駄なく循環できる未来が開けます。会場ではその成果として、200メートル以上のリサイクル炭素繊維が実物展示される予定です。

2つ目は、近年国際的に使用が問題視されている「PFAS(有機フッ素化合物)を使わない新しい樹脂素材」の開発。PFASは滑りやすさや耐久性で優れていた一方で、自然分解されずに残り続ける“永遠の化学物質”として規制が始まっています。旭化成の新素材は、PFASなしでも同等の性能を持ち、人体にも環境にもやさしいのが特長です。すでにヨーロッパでは関心が高まっており、今回が欧州初公開となります。

さらに、綿由来の「セルロースナノファイバー(CNF)」を活用したバイオ素材や、3Dプリント向けの熱に強く変形しにくい新素材など、従来の常識を覆す素材技術が数多く展示されます。どれも、自動車の軽量化、生産コストの削減、そして廃棄物ゼロに近づくことを目指したものです。

これらの技術は、製造業の「今だけよければいい」時代の終わりを告げるものであり、世界の大手メーカーやサプライヤーとの連携も期待されています。将来的には、自動車、医療、電子機器、スポーツ用品など、あらゆる分野に波及していく可能性があります。


重要キーワード3つの解説

1. PFASフリー素材
有害性が指摘され、今後世界中で使用が制限されるPFAS(フッ素化合物)を使わずに、同じ性能を実現する素材。特に欧米市場では「PFASゼロ」であることが今後の必須条件になりつつあります。

2. 炭素繊維の“完全リサイクル”技術
高価で軽量・高強度なカーボン素材を切らずに何度も再利用できる技術。従来は焼却・廃棄されていた部分を完全再生でき、産業全体の環境負荷を劇的に下げる可能性があります。

3. セルロースナノファイバー(CNF)
植物由来でありながら、鉄より強く、軽く、しかも分解可能。旭化成はこれを3Dプリンターや医療器具向けに応用し、サステナブルで高性能な製品を実現しています。

よろしければフォローお願いします。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!