ADAS製品の世界的な設計受注が加速。emotion3Dの買収と量子技術への挑戦で未来を見据える。
車載用半導体の開発で注目されるindie Semiconductor(ナスダック:INDI)が、2025年第2四半期の決算を発表しました。売上は5,160万ドル、非GAAPベースの粗利益率は49.1%と、いずれもガイダンスの中央値を上回る堅調な結果でした。
業績は赤字ながら、改善の兆しが見えています。非GAAPベースの営業損失は1,450万ドルと、前年よりも縮小。自動車向けレーダーやカメラ製品での設計受注が拡大し、収益性の向上に近づいています。
CEOのドナルド・マククライモント氏は、「厳しい市場環境でも当社の技術力と製品が評価され、世界中でADAS関連の設計受注が増えている」とコメントしています。特に77GHzレーダー製品は、世界中で行われている実証試験で高い評価を受けており、量産開始も間近です。
また、iND880ビジョンプロセッサは、EVプラットフォームやカメラモニタリングシステムで新たな採用が決まり、さらに人型ロボット向けにもカメラを供給開始。自動車以外の分野への応用も進んでいます。
今後の展開とインパクト
今期最大のニュースの一つが、オーストリアのemotion3D社を買収する契約を締結したことです。emotion3Dは車載カメラ向けの高度な映像処理ソフトウェアで知られ、この買収によってindieはチップの提供だけでなく、ソフトウェア収益の可能性も広がります。
買収額は最大3,000万ドルで、2025年第4四半期の完了を目指しています。これはindieのiND880製品の競争力強化にもつながり、今後のADAS市場における地位をさらに確かなものにすると見られています。
さらに、indieは量子フォトニクス技術への投資も発表。新しいレーザー製品「LXM-U」が量子分野での初期採用に成功しており、将来的には車載用センサーを超えた展開も期待できます。
資本面でも動きがあり、2027年満期の転換社債3,000万ドル分を割引価格で買い戻し、財務体質を強化しています。また、中国の関連会社についても売却やIPOによる資金確保を検討中です。
重要キーワード3つの解説
- ADAS(先進運転支援システム)
自動ブレーキや車線維持支援など、ドライバーを支援する車載システム。自動運転への第一歩として、自動車メーカーが競って導入を進めている分野です。 - iND880
indie Semiconductorが開発した車載用ビジョンプロセッサ。高性能カメラ制御が可能で、自動車の安全性や快適性の向上に貢献しています。 - 量子フォトニクス
光を使った情報処理技術で、次世代のセンサーや通信、コンピュータの基盤になると期待されています。indieはこれを自社技術に取り入れようとしています。