ZF LIFETEC、Heat Belt 2.0を発表 ― 電動化時代の冬の快適性と航続距離を両立
ドイツの大手自動車部品メーカー ZF LIFETEC は、次世代の加熱式シートベルト 「Heat Belt 2.0」 を発表しました。この新技術は、車内の快適性を高めながら電気自動車(EV)の 航続距離を最大6%延ばす効果 を持つとされ、9月にミュンヘンで開催される IAA Mobility 2025 で披露されます。
Heat Belt 2.0は、シートベルト全体にヒーターを内蔵することで、着用から2分以内に-5℃の状態から40℃に到達。乗員の胸部や腰部に直接熱を伝えることで、従来の車内暖房に頼らずとも快適な温度を確保できます。とくに冬場の短距離走行では、車内全体を暖めるエアコンに比べて大幅なエネルギー削減が可能で、その結果EVの効率向上に寄与します。
技術的な進化として、Heat Belt 2.0には ZFが特許を申請中のアルゴリズム が採用されています。これは人体の体温(約37℃)や皮膚温、外気温、日射量、車両のHVACシステムから得られるデータをもとに最適な発熱量を計算。従来必要だった温度センサーをベルト内に組み込む必要がなくなり、スマートかつ快適な制御が可能になりました。
さらに、Heat Belt 2.0は車両の近接センサーと連動し、ユーザーが車に近づくと自動で予熱を開始するオプション機能も備えています。これにより「乗り込んだ瞬間から暖かい」という体験が実現でき、乗員がシートベルトを正しく着用する動機づけにもつながるため、安全性の向上にも寄与します。
ZFは2023年に初代の加熱式シートベルトを発表しましたが、今回の改良版はより薄型(1.3mm)、高効率(最大60W、平均20W)かつスマート制御に対応。シティカーから高級車まで幅広く搭載可能であり、自動車メーカーにとっても新しい車内快適性ソリューションとなり得ます。
重要キーワード3つの解説
- ZF LIFETEC:ドイツに拠点を置くZFグループの一部門で、シートベルトやエアバッグなどの受動的安全システムを世界的に供給する企業。
- Heat Belt 2.0:シートベルトにヒーターを内蔵した次世代システム。EVのエネルギー効率改善と乗員の快適性向上を両立。
- エネルギーマネジメント:車内の暖房エネルギーを効率化し、航続距離を延ばす技術。EV普及に伴い、自動車メーカーが重視する分野。