電気自動車と家庭をつなぐ新技術が、暮らしとエネルギーのあり方を変える可能性
2025年9月、ラスベガスで開催される北米最大のクリーンエネルギーイベント「RE+ 25」で、Hondaは未来の家庭とクルマをつなぐエネルギー管理技術を展示することを発表しました。展示の中心は新しいグローバルEVプラットフォームを採用したAcura RSX Prototypeと、双方向に電力をやり取りできるBi-directional Home Charging Station Conceptです。これにより、クルマが家庭の電力を補ったり、電力会社の送電網に電気を戻す「V2H」や「V2G」の仕組みを来場者が体験できるようになりました。
Hondaはすでに、CES 2025で「Virtual Power Plant(仮想発電所)」という構想を発表しており、EVを単なる移動手段ではなく地域の電力を支える存在にしようとしています。例えば電気料金が安く再生可能エネルギーが多く使われている時間帯に充電し、逆に需要が高く料金が上がる時間帯には余った電力を家庭や送電網に戻すことが可能になります。これにより、電気代の節約と環境負荷の軽減を同時に実現できるのです。
今後は、2026年に量産を予定しているRSXをはじめ、さまざまな電動製品が市場に登場する見込みです。これが普及すれば、EVユーザーがエネルギーの消費者であると同時に供給者にもなり、社会全体の電力安定化に寄与する可能性があります。つまり、Hondaの取り組みは「エネルギーの使い方を根本から変える挑戦」といえるでしょう。
重要キーワード3つの解説
- V2H(Vehicle to Home)
電気自動車を家庭用の蓄電池のように使い、停電時や電気代の高い時間帯に家へ電力を供給する仕組み。 - V2G(Vehicle to Grid)
電気自動車を電力会社の送電網につなぎ、電気の余剰分を戻すことで地域全体の電力需給を安定させる仕組み。 - Virtual Power Plant(仮想発電所)
多くのEVや家庭用電池をネットワークでつなぎ、一つの大きな発電所のように管理・制御する考え方