30%のコスト削減とV2X対応、電動化社会を加速させる新しい充電インフラ
米国のEatonとChargePointが、北米と欧州を中心に展開予定の次世代EV充電ソリューションを発表しました。今回の新技術「ChargePoint Express Grid, powered by Eaton」は、最大600kWという超高速充電を実現し、乗用車だけでなく大型トラックやバスなどの商用車にも対応可能です。さらに、設置面積を30%削減しつつ、設備投資と運用コストをそれぞれ30%低減できる点が大きな特徴です。
背景として、欧州や北米では政府主導でEV普及が急速に進んでおり、それに伴うインフラ整備が課題となっています。特に充電器の設置コストや電力網への負荷は大きな障壁でした。そこで、Eatonの「Everything as a Grid」戦略とV2X技術を活用することで、車両・建物・電力市場を一体的に制御し、コスト削減と電力の有効利用を両立させています。
日本ではEV普及が欧州や北米に比べて遅れているものの、今後は再生可能エネルギーとの組み合わせや災害時の電力供給といった観点から、このような仕組みが重要となってくるでしょう。
重要キーワード3つの解説
- V2X(Vehicle-to-Everything)
EVの電力を建物や電力網に供給する仕組み。例えば、余剰電力を売電したり災害時に非常用電源として使うことが可能になります。欧州では政策的にも重視され、日本でも将来の普及が期待されています。 - DC Grid設計
直流(DC)ベースの電力供給設計。変換ロスを減らし、省スペース化や効率的な電力利用を実現するため、特に大規模な充電所でメリットがあります。 - Everything as a Grid
Eatonが掲げる考え方で、車や建物を単なる電力消費者ではなく「発電・蓄電が可能な小さな電源」として扱う仕組み。これにより電力の需給バランスを柔軟に制御し、エネルギーコスト削減や電力網の安定化に貢献します。