欧州自動車業界トップ、EUに「現実に即したグリーンモビリティ戦略」を要請

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ACEAとCLEPA、産業競争力と環境目標の両立を求める共同書簡を発表

2025年8月27日、欧州の大手自動車メーカーで構成されるACEAと、自動車部品メーカー団体のCLEPAが、EUの執行機関である欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長に対し、共同書簡を提出しました。

背景には、EUが進めてきた自動車のCO₂排出削減政策があります。現在、EUは新車販売における電気自動車(EV)シフトを強く推進し、2035年以降のガソリン車・ディーゼル車販売禁止方針を掲げています。しかし、政策が決まった当初と比べて状況は大きく変化しました。

具体的には、

  • エネルギー価格の高騰(ウクライナ情勢などが影響)
  • 中国メーカーの急成長による競争激化
  • 電池原料の調達難やサプライチェーンの不安定化
    といった新しい現実が生まれています。

こうした中で、ACEAとCLEPAは「気候目標は重要だが、産業や雇用を守る政策調整が必要」と訴えています。両団体は、9月12日に予定されている「欧州自動車産業の将来に関する戦略的対話」で、政策を現実に即して再検討するようEUに求めました。

今回、自動車メーカー(ACEA)と部品メーカー(CLEPA)が揃って声を上げたのは、産業全体が直面する危機感の表れです。もし政策が産業競争力を犠牲にして進められれば、ヨーロッパの雇用や技術基盤が失われる可能性があるからです。

日本の関係者にとっても、EUの動きは無関係ではありません。日本メーカーは欧州に工場や販売拠点を多く持っているため、EUの政策変更は直接ビジネスに影響します。また、世界市場における規制の先行事例として、日本の電動化戦略を考えるうえで重要な参考になるでしょう。


重要キーワード3つの解説

ACEA(European Automobile Manufacturers’ Association):欧州主要自動車メーカーが加盟する業界団体。政策提言や規制対応を行う。

CLEPA(European Association of Automotive Suppliers):自動車部品メーカーの欧州団体。サプライチェーン全体の立場を代表。

戦略的対話(Strategic Dialogue):EUと業界団体が政策の方向性を議論する場。今回は自動車産業の将来を左右する重要会合となる。

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