レベル4自動運転を支える安全技術、グローバル展開に向けた重要な一歩
自動運転技術の進化において「クルマの目」となるのがLidar(ライダー)です。カメラやレーダーでは補えない高精度な3D環境認識を実現し、安全性を確保するための基盤技術とされています。
今回、Hesai Technology(赫兹科技)は、米国を拠点とする自動運転企業Motionalの電動ロボタクシー「IONIQ 5」に対し、短距離Lidarの独占サプライヤーとして正式に認められたと発表しました。両社はすでに2年以上にわたり協力関係を築いており、今回の発表はその信頼関係を改めて裏付けるものとなります。
Motionalは、現代自動車グループとAptivの合弁による自動運転企業で、レベル4の完全自動運転車を開発中です。同社は世界大手の配車ネットワークと提携し、すでに数十万人の消費者に自動運転乗車体験を提供してきました。今後は都市部での大規模な運用を目指しています。
Hesaiは性能面だけでなく、サイバーセキュリティや機能安全の国際認証(ISO/SAE 21434、ISO 21448、ISO 26262)を業界で初めて取得した点も特筆すべき強みです。これにより、性能と安全性の両立が国際的に証明され、自動運転技術の信頼性向上に大きく貢献しています。
今回の独占供給は、Hesaiにとってグローバル市場での存在感をさらに強める契機となります。すでに同社は米国、欧州、アジアに拠点を持ち、40か国以上の顧客に製品を提供中。今後も世界の自動車メーカー(OEM)と連携し、自動運転車両へのLidar搭載を推進していく見込みです。
日本にとっても、自動運転やMaaS(Mobility as a Service)の普及を進める上で、こうしたLidar技術の進化は大きな示唆を与えるものであり、国内メーカーの競争戦略にも影響を及ぼす可能性があります。
重要キーワード3つの解説
Lidar(ライダー)
レーザー光で周囲を3Dマッピングするセンサー。自動運転車にとって「目」の役割を果たし、距離や形状を正確に把握できる。
レベル4自動運転
特定の条件下で、システムが人間の操作なしに完全自動運転を行える段階。Motionalが目指すのはこの領域。
ISO認証(21434 / 21448 / 26262)
自動車向けの国際安全規格。サイバー攻撃への耐性や機能安全性を保証するもので、Hesaiは世界で初めてLidar分野で取得。

