次世代長距離LiDAR「ATX」でトヨタの電動化・知能化戦略を加速
2025年8月14日、LiDAR(ライダー)技術の世界的リーダーであるHesai Technologyは、トヨタから新たな採用決定(デザインウィン)を獲得したと発表しました。このLiDARは、トヨタが中国で展開する合弁会社の新エネルギーモデルに搭載され、2026年から量産が始まります。
トヨタの中国合弁は、電動化と車両の知能化を急速に進めており、先進運転支援システム(ADAS)の高度化を成長の柱に据えています。現地の強力な研究開発体制と、グローバル基準の設計思想を融合させ、環境に優しくスマートなモビリティを量産規模で提供しようとしています。
Hesaiの採用が決まったATXは、最新の技術基盤を採用し、光学・機械設計やレーザー送受信モジュールを全面的に強化。小型でありながら長距離検知性能に優れ、自動車メーカー(OEM)から高い評価を受けています。すでに複数メーカーが2025~2026年モデルに標準装備する計画を進めており、今回のトヨタ採用でその存在感はさらに高まりました。
今後Hesaiは、LiDAR分野の研究開発力と製造力を活かし、トヨタが新エネルギー車市場で「合弁ブランドの新たなベンチマーク」を築くことを支援します。両社は、より安全で快適、そして知能的な運転支援体験を大衆市場に広げることを共通の目標としています。
この動きは、EVの自動運転支援技術の高度化を一気に加速させる可能性があり、特に中国市場での競争環境に大きな影響を与えるとみられます。また、日中の自動車技術協業の新たな章を開く出来事としても注目されます。
重要キーワード3つの解説
- LiDAR(ライダー)
レーザー光を使って物体までの距離や形状を高精度で計測する技術。自動運転や高度な運転支援システムで必須のセンサー。 - ATX
Hesaiが開発した長距離対応の自動車用LiDAR。小型化と高性能化を両立し、最新の光学・機械設計を採用。長距離検知と信頼性が強み。 - デザインウィン(Design Win)
自動車メーカーの特定モデルに部品や技術が正式採用されること。量産や市場投入に直結する重要な契約段階。