ブリーフケースサイズのシステムでBEVを簡単にREEV化
英国のHorse Powertrainは、ドイツ・ミュンヘンで開催されるIAA Mobility 2025にて、新型レンジエクステンダー「Horse C15」を発表します。この製品は、バッテリーEV(BEV)の航続距離を大幅に伸ばすことができるコンパクトなエンジン+発電機ユニットで、メーカーが既存のBEVプラットフォームを最小限の改修でレンジエクステンダーEV(REEV)に変換できる点が特徴です。
Horse C15は、1.5リッター4気筒エンジンと発電機、インバーター、冷却システムを一体化したもので、そのサイズは500×550×275mmとブリーフケース並み。車両の前方や後方に水平・垂直のいずれでも搭載できるため、設計の自由度が高く、幅広い車両に対応できます。
搭載するエンジンは、B・Cセグメント車向けに70kWの自然吸気型、Dセグメントや小型商用車向けには120kWのターボ型を用意。ガソリンだけでなく、エタノール、メタノール、合成燃料にも対応し、Euro 7(中国7、SULEV20を含む)規制に準拠しています。
REEVは、ハイブリッド車と異なりエンジンが直接タイヤを駆動せず、効率の良い回転域で発電専用に動く仕組みです。そのため燃費と排出ガスを抑えつつ、EVと同じ滑らかな走行感を維持できます。また、バッテリーサイズを小さくできるため、コスト削減や重量低減、レアメタルの需要抑制にもつながります。
CEOのMatias Giannini氏は「REEV市場は世界的に急拡大している。Horse C15はOEMにとってコスト効率が高く、現行BEVを柔軟に拡張できる実用的な選択肢だ」と述べています。今後は各地域のニーズに応じて、EV普及のギャップを埋める存在として注目されそうです。
重要キーワード3つの解説
レンジエクステンダー(REEV)
EVのバッテリー残量を発電専用エンジンで補い、航続距離を伸ばす仕組み。充電インフラ不足や長距離利用に強みを持つ。
コンパクト一体型設計
エンジン、発電機、インバーター、冷却装置をひとつにまとめた「ブリーフケースサイズ」のユニット。設計変更が少なくOEMに導入しやすい。
マルチ燃料対応
ガソリンに加え、エタノール、メタノール、合成燃料にも対応。将来的な低炭素燃料利用や地域特性に柔軟に適応可能。
