Google CloudのAutomotive AI AgentとQualcommのSnapdragon Digital Chassisを統合し、車内外で動くハイブリッドAIエージェントを自動車メーカーへ。
2025年9月8日、ミュンヘンでQualcomm TechnologiesとGoogle Cloudは、自動車向けのAI連携をいっそう強化すると発表しました。両社はGoogleのGeminiモデルを活用したAutomotive AI Agentと、QualcommのSnapdragon Digital Chassisを組み合わせ、車内外で使えるマルチモーダルのエージェント型AIを自動車メーカーが迅速に実装できるよう支援します。これにより、ユーザーは単なる音声コマンドを越えて、会話の文脈を理解し、個々に最適化された“AIコンパニオン”とクルマで対話できるようになります。
仕組みは明快で、端末側(オンデバイス)AIが即時かつ安定した応答を担い、クラウド側AIが常に進化する高機能を提供します。両者をハイブリッドに編成することで、通信状況に左右されにくく、しかも新機能を継続的に取り込めるのが強みです。
両社の関係は2016年、Snapdragonで動く組み込みAndroidから始まり、音声やナビのAI対応コックピットへと広がりました。その延長線上で今回の発表は、Android Automotive OSのスケーラブルな更新や、クラウドサービスと車載プラットフォームの融合をさらに推し進める位置づけです。
重要キーワード3つの解説
Agentic AI(エージェント型AI)とは、ユーザーの意図を理解して自律的にタスクを組み立て、必要に応じて外部サービスと連携しながら結果を出すAIのことです。単発の回答ではなく、連続した“段取り”までこなせる点が要です。
Snapdragon Digital Chassisは、Qualcommが提供する車載コンピューティングの包括的プラットフォームで、インフォテインメント、コネクティビティ、ADASなどを横断してソフトウェアで機能を拡張できる基盤です。統合が進むほど、更新や追加機能の展開がしやすくなります。
Hybrid Edge-to-Cloudは、車載SoCでオンデバイス推論を行いつつ、必要に応じてクラウド推論を組み合わせる設計です。これにより、遅延に敏感な処理は車内で即応し、学習や高度機能はクラウドで進化させるという“いいとこ取り”が可能になります。