AI対応コックピットとADASの共同開発により、欧州・中国のOEM向け
Qualcomm TechnologiesとHARMANは、車載の生成AIを実装するための新たな協業を発表しました。核となるのは、Snapdragon Cockpit EliteをHARMAN Ready製品群に組み込み、AI対応コックピットとADASのソリューションをまとめて提供する体制です。両社は欧州と中国をターゲットにスマホのように常にアップデートされ、文脈を理解して応答するクルマを実現しようとしています。
この協業では、HARMANの市場投入可能なアーキテクチャとQualcommの高性能コンピュートを組み合わせ、リアルタイムのADASビジュアライゼーションや状況認識(situational intelligence)、さらに感情や嗜好をくみ取る“共感的UI”までを視野に入れます。
さらに両社は、Snapdragon Ride™ Elite/Snapdragon Ride™ Flexを核とするCentral Computeでも連携します。ここでは単一SoC上で安全重視のADASとIVIが並行稼働(mixed criticality)できる構成を採り、設計の簡素化と消費電力の削減、そして安全機能とエンタメ体験のシームレスな連携を目指します。まずは欧州・中国のOEM向けに展開し、需要が高まる知的で感情に寄り添うモビリティに応えます。
重要キーワード3つの解説
Snapdragon Cockpit Eliteは、インフォテインメントやグラフィックス、AI推論を高効率にこなす車載SoC群で、リアルタイム描画と会話AIを同時に支える演算土台です。HARMANのUI/アプリ層と組み合わせることで、量産向けの“気の利くコックピット”を短期間で立ち上げられます。
HARMAN Ready(Ready Engage/Luna、Ready Vision QVUE、Ready Care)は、市場投入可能なモジュール製品群です。Lunaによる自然で共感的な対話、QVUEによるARリッチな情報提示、Ready CareによるAIドライバーモニタリングを束ね、ブランド要件に合わせて拡張できます。
Central Compute(Snapdragon Ride Elite/Flex、mixed criticality)は、安全クリティカルなADASとIVIを単一SoCで並行実行する設計思想です。これによりECUを集約しつつ、電力・配線・コストを抑え、安全機能と体験機能の連携を滑らかにします。