バッテリー事故を防ぐ新技術、中国から世界へ広がる可能性
ドイツの化学大手BASFは、電気自動車(EV)の安全性を高めるための新しい冷却剤「GLYSANTIN® ELECTRIFIED®」を発表しました。冷却剤とは、エンジンやバッテリーの温度を下げるために使う液体のことです。今回の製品は電気をほとんど通さない特殊な液体で、バッテリーが過熱して火災や爆発を起こすリスクを減らすことができます。
この冷却剤は、2025年10月に中国で始まる新しい業界基準GB 29743.2-2025に合わせて開発されました。新しい基準は、EVの普及に伴って増えている安全性への不安に応えるためのものです。BASFの冷却剤は、液体が分解して水素ガスを出すのを防ぐほか、金属部品を腐食から守る力も備えています。すでに国際的な試験機関の認証も取得しており、信頼性は高いとされています。
生産はEV市場が世界で最も大きい中国・上海の浦東工場で始まりました。まずは中国向けに供給されますが、今後は世界の自動車メーカーにも広がっていく可能性があります。もし世界的に採用が進めば、EVの安全性に対する消費者の安心感が高まり、EV市場の拡大を後押しすることになるでしょう。
重要キーワード3つの解説
- LECC(低電気伝導性冷却剤)
電気をほとんど通さない冷却液。高電圧の部品と接触してもショートや事故が起きにくい。 - GB 29743.2-2025
中国で2025年10月から適用される新しいEV安全基準。冷却剤の性能にも厳しい条件が定められている。 - GLYSANTIN®
BASFが長年展開している冷却剤ブランド。1929年から続く信頼あるシリーズで、最新技術を取り入れて進化してきた。
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