五菱「宏光 Mini EV」から始まったミニEVブーム、その背景と未来
中国の街角で、ここ数年大きな存在感を放っているのが超小型電気自動車です。その中心にいるのが、五菱(SAIC-GM-Wuling)が手がける「宏光 Mini EV」シリーズです。2025年2月には新型の5ドア版が発売され、わずか1か月で31,222台を販売しました。この数字はガソリン車を含むすべての車種を上回り、中国国内で月間販売台数トップという快挙となりました。
人気の理由は、何よりその「手軽さ」にあります。価格は日本円にして50~70万円台と驚くほど安価で、航続距離は120~200kmと日常の移動には十分。最高速度も100km/hに達し、都市での走行に不自由はありません。さらに、補助金が縮小されても勢いは衰えず、累計販売台数はすでに100万台規模に達しています。
この成功を受け、長安(Changan)や奇瑞(Chery)といった他メーカーも続々と同様の超小型EVを投入しています。「Lumin」や「QQ Ice Cream」といった個性的なモデルが登場し、都市の移動手段は一気に多様化しました。背景には、中国政府による都市部でのナンバープレート優遇策や、電動化を推進する政策もあります。
今後は、こうした超小型EVが都市交通のインフラと結びつき、カーシェアやラストワンマイル輸送の主役となる可能性もあります。環境負荷の低減だけでなく、街の景色そのものを変えていくインパクトを秘めているのです。
重要キーワード3つの解説
- 超小型電気自動車
軽自動車よりさらに小さいEVの総称で、都市部の短距離移動に特化。低価格と省スペース性が支持されている。 - 五菱宏光 Mini EV
中国の超小型EVブームをけん引するモデル。安さとデザイン性の両立で若者や女性層にも人気。2025年に5ドア版が登場し、さらに実用性を強化。 - EV補助金縮小後の市場
中国では補助金が段階的に廃止されつつあるが、低価格な超小型EVはその影響を受けにくい。むしろ価格競争力で市場を拡大し続けている。