「見る」と「判断する」を同時に行うワンステージ型エンドツーエンド方式で、より人間に近い運転体験を実現
中国・広州を拠点とする自動運転技術のリーダーWeRide(Nasdaq: WRD)は、次世代ADASソリューション「WePilot AiDrive」を正式発表しました。本システムは、世界的ティア1サプライヤーのBoschと共同開発され、従来の「センシング→判断」の二段階プロセスを飛び越え、「認識」と「行動」を同時に行うワンステージ型エンドツーエンド方式を採用しています。
これにより、車両は熟練ドライバーのように即時に反応し、より短い走行ルート、より高い誤差許容度、よりスムーズな運転を実現。すでに主要機能の検証を完了しており、2025年中に量産および車両搭載を開始する予定です。
WePilot AiDriveが得意とするシナリオ
- 渋滞中のスムーズな車線変更
- 突発的な工事現場での迂回
- 信号や標識のない交差点での右左折(アンプロテクテッドターン)
- 先行車を追従する際の自然な加速・減速
- 都市部の狭路での歩行者・対向車・障害物との複雑なやり取り
主な技術的特長
- スケーラブルな計算性能
ハイエンドからミドル・ローエンドまでスケールダウン可能。独自ミドルウェアにより、ハード依存を最小化。 - 柔軟なセンサー構成
カメラのみ(Pure Vision)からマルチセンサーフュージョンまで幅広く対応。 - 迅速な日次アップデート
走行データから自動で学習ラベルを生成し、長尾シナリオやエッジケースへの対応力を継続的に向上。
この「走れば走るほど賢くなる」仕組みは、AI学習型ADASとして大きな強みとなっています。
WeRideはこれまでに10か国30都市以上で実証実験を行い、L2からL4までの幅広い自動運転ソリューションを提供。ロボタクシー分野では上場企業として初の実績を持ち、すでに中国、米国、シンガポール、フランス、サウジアラビア、UAEの6市場で自動運転許可を取得しています。
WePilot AiDriveの量産開始は、ADAS市場において「人間に近い運転体験」と「大規模普及可能なコスト性能」を両立させるターニングポイントとなるでしょう。
重要キーワード3つの解説
- ワンステージ型エンドツーエンド方式
従来の「見る→考える→動く」二段階プロセスを統合し、「見た瞬間に行動」できる構造。反応速度が向上。 - Pure Vision/マルチセンサーフュージョン
カメラだけのシンプル構成から、LiDARやレーダーと組み合わせた高精度検知まで柔軟に対応。 - モデル蒸留(Model Distillation)
高性能モデルを縮小し、軽量な計算環境でも同等の性能を実現するAI最適化技術。