インフィニオン、マーベルの車載イーサネット事業を買収完了 ―ソフトウェア定義車と物理AIで成長加速―

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4兆円規模のデザインウィンパイプライン獲得、車載半導体世界首位の地位をさらに強化

2025年8月14日、Infineon Technologies AGは、米Marvell Technologyの車載イーサネット事業の買収を完了しました。この取引は同年4月に発表され、すべての規制承認を取得済みです。買収により、インフィニオンはソフトウェア定義車(SDV)のシステム開発力を強化し、車載マイコン分野での世界的なリーダーシップを一層拡大します。

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イーサネットは、マイコンやプロセッサ、センサー間で大容量データを低遅延かつ高帯域で伝送する基盤技術で、SDVの通信バックボーンとして不可欠です。加えて、ヒューマノイドロボットなどの物理AI分野でも有望な応用先があります。今回の買収でインフィニオンは、マーベルのBrightlane™車載イーサネット製品群(PHYトランシーバー、スイッチ、ブリッジ)を既存のマイコン技術と組み合わせ、より包括的なソリューションを提供可能となります。

今回の事業は2030年までに約40億米ドル(約4兆円)のデザインウィンパイプラインを持ち、将来の収益成長余地も大きいと見込まれています。2025年暦年の売上は2億2500万~2億5000万米ドル、粗利益率は約60%を想定。買収額は25億米ドルで、自己資金と銀行からの借入を組み合わせて調達しました。

インフィニオンは、この事業を自動車部門の新設組織「Ethernet Solutions」ビジネスラインとして統合。米国での研究開発拠点を含め、グローバルでの存在感をさらに高める方針です。CEOのヨッヘン・ハネベック氏は、「今回の取引は自動車半導体での首位を盤石にし、SDVの変革を顧客とともに推進する」と述べています。

今後は、車載ネットワークの高度化とAIロボティクスへの展開が同時進行で進む可能性が高く、インフィニオンの成長ストーリーは自動車分野にとどまらない広がりを見せるでしょう。

重要キーワード3つの解説

  1. ソフトウェア定義車(SDV)
    車両機能をソフトウェアで柔軟に更新・拡張できる新しい自動車の形態。高性能通信とセンサー統合が不可欠。
  2. 車載イーサネット
    車内の電子制御ユニットやセンサー間で高速・大容量通信を可能にするネットワーク技術。自動運転や高度運転支援の基盤となる。
  3. 物理AI(Physical AI)
    AI技術を実世界の機械やロボットに組み込み、物理的な作業や移動を行わせる応用分野。ヒューマノイドロボットなどが代表例。

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