AIサーバーからEV充電器まで――Infineonが発表した新世代CoolSiC™ MOSFETの可能性

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省エネと小型化を同時に進める半導体技術

2025年8月26日、ドイツの大手半導体メーカーInfineon Technologies AGは、CoolSiC™ MOSFETs 650 V G2シリーズに75mΩの新モデルを追加しました。今回の発表は、一見すると半導体部品の細かな仕様変更に思えるかもしれません。しかし、実際にはAIや電気自動車、再生可能エネルギー分野に大きな波及効果をもたらす可能性があります。

そもそもMOSFETとは、電気をスイッチのように高速で「オン・オフ」する半導体素子です。電力を効率よく制御できるため、家電からデータセンター、電気自動車まで幅広く使われています。その中で「SiC(シリコンカーバイド)」を材料に使ったMOSFETは、従来のシリコン製よりも電力損失が少なく、発熱も抑えられるのが特徴です。これにより、システム全体の小型化や省エネ化が可能になります。

Infineonが今回発表した第2世代CoolSiC MOSFETは、信頼性を高め、設計もしやすく進化しました。新しいパッケージ(部品の形状や構造)が導入され、特にTop Side Cooling (TSC)に対応したものは、基板の上面から直接熱を逃がせるため、大電力機器でも小型設計が可能になります。例えばAIサーバーや電気自動車の急速充電器では、高出力を扱うため熱が大きな課題ですが、この仕組みで効率的な放熱が実現できます。

今後、この技術が広がれば、データセンターでは消費電力削減につながり、再生可能エネルギー設備ではより多くの電力を有効に利用できるようになります。さらに、EVやロボットなど次世代モビリティ分野では高性能とコンパクト設計の両立を可能にし、産業の競争力強化にも貢献するでしょう。

重要キーワード3つの解説

  • CoolSiC™ MOSFET:電力制御に用いられる半導体で、従来型よりも高効率・省エネ性能に優れた次世代デバイス。
  • Top Side Cooling (TSC):基板の表面から効率的に放熱する技術。大型サーバーやEV充電器の小型化に有効。
  • 75mΩ:MOSFETの抵抗値で、小さいほど損失が少なく効率的。電力変換のロスを抑えるカギとなる数値。

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