- ロボタクシーの普及には「無人での充電」が最大の障壁
- Rocsys社の「ROC-1」がロボットアームで完全自動充電を実現
- AudiやBMWなどと共同で標準規格を2025年末に発表予定
- 初のロボ充電対応車は2026~2029年に登場見込み
- ロボタクシーの収益性向上には充電オペレーションの最適化が不可欠
完全自動運転の実現には「充電の自動化」が不可欠──ロボアーム技術が鍵を握る、新たなEVインフラの未来とは。
自動運転技術とロボタクシーの進化が、米国や中国を中心に急速に現実味を帯びてきている。しかし、どれだけ「人の手を必要としない」ことが売りのロボタクシーでも、充電の段階で人の手が必要である限り、その自動化は未完成だ。
オランダ発のスタートアップ企業 Rocsys(ロクシス) は、その根本的な課題を打破するために、完全自動充電ロボット「ROC-1」 を開発した。これはロボットアームにより、充電ケーブルの接続から充電完了後の取り外しまでを全自動で行うシステムだ。
RocsysのCEOであるクライン・バウマン氏は、「自動運転の普及において、充電の自動化は不可欠な要素」だと語る。現在は物流施設や一部の手動運転車向けに実装されているが、次世代モデルはロボタクシー市場に特化した仕様になる予定だという。
さらに同社は、アウディ、メルセデス、BMW、フォード、ポルシェと共に「ROCiN-ECOコンソーシアム」を結成し、ロボット充電の国際標準化を進めている。2025年末には最初の規格が発表され、2026〜2029年にかけて、この規格に対応する車両が市場に登場する見通しだ。
ロボタクシーの社会実装においては、単に技術的な完成度だけでなく、**いかに効率的に稼働できるか(オペレーショナル・エクセレンス)**が問われる。特に充電作業を人力で行うと、運用コストが跳ね上がり、せっかく運転手を不要にしても意味がなくなる。
バウマン氏はこう締めくくる。「ロボタクシーに“ChatGPT的ブレイクスルー”が訪れるのは今後2年以内。自動充電はそのカギを握っている」。