- テスラが全体首位を維持、BYDは販売台数で首位に立つ。
- 日本・韓国勢は下位が目立つが、ホンダ・日産には前進も。
- 最も進化したのは中国の吉利(Geely)と奇瑞(Chery
ZEV(ゼロエミッション車)への本気度で見える未来の勢力図、トップとラガードの差がさらに拡大。
ICCT(国際クリーン交通協議会)の2024年版「グローバル自動車メーカー評価」では、世界21の主要自動車メーカーがZEV移行に向けてどれだけ前進しているかを、10の指標でスコア化しました。
評価は以下の3つの柱で構成され、それぞれ同等の重みで最終スコアを算出しています:
- 市場でのZEVシェア(市場支配力)
- 車両性能(技術力)
- 企業の戦略ビジョン
その結果:
【リーダー】(スコア66.7〜100)
- テスラ(84点):すべての指標でトップ級の評価。販売、性能、戦略の三拍子そろったEV専業メーカー。
- BYD(70点):BEV販売台数でテスラを抜き首位に。中国国内外で急速なEV展開を見せる。
【トランジショナー】(スコア33.4〜66.6)
- 吉利(Geely, 56点)と奇瑞(Chery, 42点):ZEV販売シェアと技術力を大幅に改善。
- BMW(52点)やVW(46点)など欧州勢も中堅を維持。
- GM(40点)やルノー(39点)もやや後退傾向。
【ラガード】(スコア0〜33.3)
- トヨタ(29点)やホンダ(28点)、日産(23点):販売・技術・戦略のすべてで遅れが目立つ。
- スズキ(9点)とマツダ(12点)は最下位グループに。
日本メーカーの状況
- ホンダは米国でのPrologueの販売により技術スコアを改善、また初めてCEO報酬にCO2指標を組み込みました。
- 日産も「e-POWER」をZEVから分離し、ZEV目標を明確化したことで戦略スコアが向上。
- しかし、依然として世界標準からは遠く、戦略と投資の両面で遅れを取っています。
今後の展開
- 中国メーカーが技術・戦略両面で成長を続けており、欧州勢も明確な目標設定と投資で着実に前進中。
- テスラやBYDを追いかける新興勢力が今後の市場をどう変えるかが焦点です。
- 日本勢にとっては、本格的なZEV移行の意思決定と迅速な実行が不可欠です。
重要キーワード3つの解説
- ZEV(ゼロエミッション車)
排出ガスゼロのEVや燃料電池車(FCEV)を指す。世界の脱炭素目標の中心に位置する技術。 - ラガード(Laggard)
取り組みの遅れている企業群。33.3点未満のスコアのメーカーが該当。 - 市場支配力(Market Dominance)
各社のZEV販売比率や、どの車種カテゴリで展開しているかによって評価される。