- BMWとViasatが衛星通信(NTN)を活用した車載緊急通信を実証
- 5G-V2X Directで車両間センサー情報を共有し、歩行者検知を実現
- 衛星と地上ネットワークのシームレスな切り替えが可能に
- Euro NCAP準拠の緊急ブレーキ警告など、事故防止技術も披露
- 5GAAが110社以上とともに、モビリティの次世代標準を推進中
緊急通信から歩行者検知まで、NTN(非地上ネットワーク)と5G-V2Xが切り拓く新たなモビリティの安全と未来。
BMWとViasatが共同で行った実証実験により、衛星通信(NTN)を用いた自動車の緊急通信システムが現実のものとなりつつある。これは、5G Automotive Association(5GAA)による先進的な取り組みの一環であり、自動車業界における次世代通信の未来像を示す重要なステップだ。
このデモでは、地上ネットワーク(4G/5G)と衛星ネットワーク(NTN)をシームレスに切り替えながら通信できるシステムが実証された。ドライバーは通信経路が衛星か地上かを意識せずに通話やデータ送信を行えるようになるという。
さらに、「5G-V2X Direct」技術を用いた車車間通信(V2V)により、見通しの悪い交差点における歩行者の存在を別の車両のセンサー情報で検知し、ドライバーに警告を発するという未来的な機能も披露された。この技術は2026~2029年に商用車への導入が見込まれており、安全運転支援の新たな鍵となる。
また、インテリジェント交差点やカメラ付きインフラ、スマートフォンアプリなどと連携し、複数の車両とインフラがリアルタイムに**「周囲の状況を共有(Collective Perception)」**することで、事故の未然防止を図る取り組みも行われた。これは、欧州の2026年Euro NCAP基準に準拠した、次世代ブレーキ警告「EEBL(緊急電子ブレーキライト)」の即時通知機能も含まれる。
この実験に参加したのはBMWの他に、ノキア、オレンジ、ステランティス、ヴァレオ、HARMANなどの大手企業。5GAAは現在110社以上が加盟するグローバル組織で、コネクテッドカーと自動運転、次世代輸送インフラの標準化と実用化に向けた国際的な連携を主導している。