電動車販売が前年比50%増、IONIQ 5は71%増。環境志向と税制の追い風を受け、ヒュンダイの進化が止まらない。
2025年7月、ヒュンダイ・モーター・アメリカは過去最高の月間販売実績を達成しました。総販売台数は79,543台にのぼり、前年同月比で15%増という勢いのある伸びを見せています。中でも注目すべきは、小売販売が18%増とさらに好調だった点です。
特に脚光を浴びているのがIONIQ 5。この電気自動車(EV)は前年に比べて小売販売が71%も増加し、同社の販売記録を大きく引き上げました。IONIQ 5の販売増加の背景には、アメリカ製2025年モデルへの切り替えと、それに伴う最大7,500ドルの連邦EV税額控除があります。この税額控除が2025年9月末に終了予定であるため、駆け込み需要も拍車をかけました。
また、IONIQ 5は見た目のスタイリッシュさに加え、最大318マイル(約511km)の航続距離や、Teslaスーパーチャージャーへの対応といった他のEVにはない実用性と魅力を兼ね備えていることも人気の要因です。さらに、月額179ドルからのリースプランや無料のホーム充電器の提供など、消費者の購入を後押しする戦略的な施策も功を奏しました。
この7月はIONIQ 5だけでなく、Elantra HEV、Santa Fe HEV、Palisadeなど複数の車種でも販売記録が更新され、電動車全体の販売は前年比で50%増と、ヒュンダイの“電動化への本気”が数字にもはっきりと現れています。
今後は、新型2026年型Palisadeの販売が本格化することで、さらなる販売増が期待されます。特にSUV市場での存在感を一層高める可能性があります。今回の結果は、ヒュンダイが環境対応と商品力の両立でライバルに先行していることを示すものといえるでしょう。
重要キーワード3つの解説:
- IONIQ 5
ヒュンダイの代表的な電気自動車。広い室内空間、スタイリッシュなデザイン、優れた走行性能を兼ね備えたモデルで、今後のブランドの中核を担う存在。2025年モデルからアメリカ生産になり、税額控除の対象に。 - 連邦EV税額控除
米国政府が実施している電気自動車購入時の税制優遇。最大7,500ドル(約110万円)の控除が受けられる。対象車種や生産地の条件があり、IONIQ 5は条件を満たすことで売上を伸ばした。 - 電動化(Electrified Vehicles)
EV(電気自動車)とHEV(ハイブリッド車)を含む総称。ヒュンダイはこの分野で前年比50%の販売増を記録しており、環境対応車への需要の高まりを強く反映している。