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米国の新関税、UAM業界コストを最大20%押し上げ──商用運用開始にも遅れの懸念

  • 米国の新関税でUAM産業コストが10〜20%上昇の可能性
  • バッテリー、先進素材、電子部品への依存度が高く影響甚大
  • eVTOL商用化スケジュールやFAA認証作業に遅れリスク
  • 企業は国内組立や非関税地域調達へのシフトを模索
  • インフラ投資計画(CAPEX)にも影響、普及ロードマップに遅れ懸念

バッテリー・先進素材の輸入コスト増で、eVTOL普及計画に影響か


2025年4月16日──マーケットアンドマーケッツ社の最新レポートによると、米国の新たなハイテク輸入品への関税措置により、都市型エアモビリティ(UAM)産業のコストが10〜20%上昇する可能性が指摘されている。特にバッテリー、パワーエレクトロニクス、軽量素材への影響が大きく、eVTOL商用化スケジュールにも遅れが出る恐れがあるという。


記事本文:
2025年、米国政府は電子システム、バッテリー、推進装置、先進複合材などの重要部品に新たな関税を課した。これらの部品はUAM市場に不可欠であり、eVTOL(電動垂直離着陸機)開発企業やインフラ業者に深刻なコスト増圧力をもたらしている。

UAM市場は2023年に12〜16億ドル規模に達し、ロサンゼルス、マイアミ、ダラスといった都市でのパイロットプログラムを追い風に、急成長が期待されていた。しかし今回の関税措置により、初期段階の企業は予算超過に直面し、プレ商用展開を延期する動きも出ている。

各企業はリスク回避策として、バッテリーパックの米国内または近隣諸国での組み立てへの切り替え、非関税対象地域(インド、東欧など)からの調達シフト、国内サプライヤーとの合弁事業設立を模索している。

さらに、FAA(米連邦航空局)認証作業にも影響が及ぶ可能性があり、部品調達の変更によるシステム再設計が必要となれば、追加認証プロセスによる遅延リスクが高まる。

バッテリー(リチウムイオン、全固体電池)は主に韓国、中国、日本から、軽量複合材、モーター、センサーは世界各国から調達されており、航空電子機器や自律運転システム用半導体もアジア・欧州製が多くを占めている。これらの部品がコスト上昇に直結する構図だ。

インフラ開発パートナー(バーティポート運営会社など)も、充電設備やデジタル交通管理システムのコスト増を受け、設備投資計画(CAPEX)の見直しを迫られている。

これら複合的な影響により、UAMの大規模普及に向けたロードマップに調整を余儀なくされる可能性が高まっている。

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