補助金削減と規制の変化が影響、電気自動車の販売シェアは依然として一部の国で伸び悩み
2024年、ヨーロッパの電気自動車（EV）販売は前年と同じく新車販売の約20%を占め、販売シェアの停滞が見られました。特に、ドイツやフランスといった主要市場では、政府の補助金の縮小や撤廃が大きな要因となり、EV市場の成長が鈍化しました。ドイツでは2023年末に補助金が終了し、フランスでは高所得者向けの環境ボーナス額が制限され、補助対象車両も絞られました。
加えて、EUのCO2排出基準の見直しがEV市場の成長を妨げた可能性があります。新たな基準が5年ごとに設定されるため、2024年には自動車メーカーが2025年に強化される新たな基準を見据えて、EV販売に力を入れるインセンティブが低かったといえます。この点は、イギリスのように年次で目標が増加する市場とは対照的です。
一方、イギリスでは2024年に電気自動車の販売シェアが24%から30%に増加しました。これは自動車排出量取引制度が初めて導入された年であり、全新車登録の22%をBEV（バッテリー電気自動車）またはFCEV（燃料電池車）にする必要がありました。ノルウェーでは、電気自動車販売の88%がバッテリー電気自動車であり、ほぼ100%の電動化が進んでいます。さらに、2024年にはノルウェーの道路での石油消費が2021年と比べて12%減少しました。2025年には、従来型車とPHEVへの税金が増加し、ノルウェーのEV販売シェアはさらに高まると予測されています。
また、デンマークでは、電気自動車の販売シェアが10ポイント増加し、56%に達し、ほぼ10万台のEVが販売されました。これらの国々の成長は、政策支援の強化や税制優遇措置が大きな役割を果たしています。
重要キーワード３つの解説
- 補助金の減少
多くのヨーロッパ諸国では、EV購入に対する政府の補助金が減少または撤廃され、その影響で販売成長が鈍化しています。特に、ドイツやフランスではこの影響が顕著で、政策変更が販売に与える影響は大きいことが分かります。 - EUのCO2排出基準
EUは5年ごとに新たな排出基準を設けるため、自動車メーカーが短期間で新しい基準に適応するインセンティブが不足している点が、EV市場の停滞を引き起こす要因となっています。 - イギリスとノルウェーの成功例
イギリスやノルウェーでは、年次目標や強力な政策支援が効果を上げており、電気自動車市場の急成長が実現しています。特にノルウェーは、88%のEV市場シェアを達成し、今後もさらなる成長が期待されています。