- ROHMが新型SiCパワーモジュール「HSDIP20」を発表
- 750V/1200V対応の13モデルでOBC用途に最適化
- 従来比で動作温度38°C低減、設置面積も52%削減
- EcoSiC™ブランドの高品質SiC技術を採用
- EV・産業機器の小型・高効率化を強力にサポート
電動車普及を加速させる、小型・高密度パワーコンバージョンソリューション
ROHM株式会社は、2025年4月24日、次世代電動車(xEV)向けのオンボードチャージャー(OBC)用途に最適な新型SiCパワーモジュール「HSDIP20パッケージ」を開発したと発表しました。
新製品は、PFC(Power Factor Correction)およびLLCコンバータ向けに設計された4-in-1および6-in-1構成で、750V定格モデル6種、1200V定格モデル7種の合計13モデルが展開されます。
■ 高密度・高放熱設計が生み出す圧倒的パフォーマンス
HSDIP20パッケージは、38.0mm × 31.3mm × 3.5mmという極めてコンパクトなサイズながら、すべての基本パワー回路を集積。
特に、高放熱特性を持つ絶縁基板を採用しており、従来のトップクールディスクリート構成と比較して、動作時のチップ温度上昇を約38°C抑制できることが検証されています(25W動作時)。
また、従来のディスクリート実装と比べ設置面積を約52%削減。電力密度はトップクールディスクリート比で約3倍、同クラスのDIPモジュール比で約1.4倍に達し、業界トップクラスの高密度化を実現しています。
■ 市場背景:高電圧化・高出力化が求められるEVシステム
近年、電動車(xEV)の航続距離延長や充電時間短縮ニーズを受け、バッテリー電圧は800Vクラスへの移行が進んでいます。
これに伴い、OBCやDC-DCコンバータにもより高出力・高効率な電源回路が求められています。
しかし、単に出力を上げるだけではシステムが大型化・発熱問題が発生するため、小型化・軽量化と放熱設計の両立が不可欠です。
ROHMは今回のHSDIP20パッケージにより、こうした市場課題を一挙に解決。次世代車載電源システムの設計自由度向上に大きく貢献します。
■ 製品ラインアップと用途例
モデル名 | 定格電圧 (V) | RDS(on) (mΩ) | 定格電流 (A) | 構成 |
---|---|---|---|---|
BST91B1P4K01 | 750V | 13mΩ | 90A | 4-in-1 |
BST91T1P4K01 | 750V | 13mΩ | 90A | 6-in-1 |
BST70B2P4K01 | 1200V | 18mΩ | 70A | 4-in-1 |
BST70T2P4K01 | 1200V | 18mΩ | 70A | 6-in-1 |
他9モデルあり |
主な適用先
- オンボードチャージャー(OBC)
- 電動コンプレッサー
- EV急速充電器(V2X対応)
- サーバ電源、ACサーボ、太陽光発電インバータ(PVインバータ)
■ EcoSiC™ブランドで高信頼性を保証
HSDIP20は、ROHMのEcoSiC™ブランド製品群に属し、ウェハ製造からパッケージング、品質管理に至るまで一貫生産体制で開発。
この体制により、高品質で長期信頼性に優れたSiCパワーデバイスを市場に供給しています。
■ 価格・出荷情報
- 参考価格:100ドル/個(サンプル価格・税抜)
- 供給状況:OEM向け量産出荷開始(2025年4月より)
また、ダブルパルス試験用・3相フルブリッジ試験用評価キットも用意されており、迅速な導入・設計検証が可能です。