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米下院共和党、EV税優遇と燃費規制の撤廃提案──電動化政策に逆風か

  • 米下院共和党がEV新車・中古車税控除の廃止を提案、2024年末で終了へ
  • 2027年以降の燃費・排出規制も撤廃対象に、ローンプログラムも打ち切り
  • EV推進団体は「米国製造業と雇用に深刻な打撃」と反発
  • 中国系技術との連携企業に対し税優遇除外の新条件も追加
  • フォード、リビアンなど大型投資プロジェクトへの影響が懸念される

「米国の技術リーダーシップ放棄に等しい」と専門家が警鐘──中国企業に有利な展開の懸念も

2025年5月13日、米ワシントン発の報道によれば、米国下院の共和党議員団が、電気自動車(EV)普及を支える税制優遇措置と燃費規制を撤廃する法案を提出しました。この提案は広範な税制改革案の一部で、新車に対する7,500ドルのEV税額控除、および中古車向けの4,000ドル控除を2024年12月31日で終了させる内容です。

ただし、20万台未満のEVを販売している自動車メーカーについては、1年間の延長措置が設けられる予定です。

これに対し、電動車推進団体Electric Drive Transportation Associationのジーンヴィエーヴ・カレン代表は、「米国のエネルギー技術リーダーシップを放棄する短絡的な決定だ」と強く非難し、中国の競合企業に大きな市場優位を与える危険性を指摘しました。

また、税制優遇と並んで議論の対象となっているのが、先進車両製造支援のローンプログラムで、共和党はこれも未執行資金の返還を含めて撤廃を求めています。さらに、2027年以降の燃費基準(CAFE)および温室効果ガス排出規制の撤廃も盛り込まれており、今後エネルギー・商業委員会で審議される見通しです。

一方で、電池生産に対する税額控除(IRAバッテリークレジット)は維持されるものの、2027年からは中国企業が関与するバッテリー技術を用いたEVに対しては控除適用外となる新条件も追加されます。これは、フォードやテスラが中国技術とライセンス契約を結ぶ構図に影響を与える可能性があります。

この法案が影響を及ぼす具体例としては、バイデン政権下で承認されたフォードとSK Onによる96.3億ドルのテネシー・ケンタッキー工場計画ステランティスとサムスンSDIによるインディアナ州の75.4億ドルプロジェクト、**リビアンのジョージア州工場(65.7億ドル)**などが挙げられます。

今後の議会審議の行方次第では、米国内のEV関連投資・雇用・環境政策に大きな揺らぎが生じることは避けられません。

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