- トヨタが中国EVメーカーNetaの買収を検討との報道(正式には未確認)
- Netaは巨額の損失と資金調達失敗で2024年以降深刻な経営危機に直面
- 工場の再稼働に失敗し、主要投資家も撤退──企業価値は80%以上下落
- タイでの補助金返還リスク、サプライヤー債務6億元の重荷も
- トヨタはEV戦略強化へNetaの技術・現地ネットワークに関心か
経営危機のNetaにトヨタが救いの手? 破綻寸前の現地EV企業を巡る買収報道が浮上
2025年5月12日、中国のITメディア「快科技(Kuai Technology)」が報じたところによると、トヨタ自動車が中国の新興EVメーカー「哪吒汽車(Neta Auto)」の買収を検討している可能性があるとのことです。正式な確認はされていないものの、実現すればトヨタにとって中国EV市場での巻き返しの重要な一手となり得ます。
Netaは2014年に合衆新能源汽車(Hozon New Energy)によって設立され、かつては注目の新興EVブランドとして存在感を示していました。しかし、2024年半ばから深刻な経営危機に陥り、工場停止・大量解雇・資金調達失敗と問題が山積。
特に2025年2月に予定されていた**Eラウンド資金調達(最大45億元)**が頓挫し、生産再開やマッチング資金の確保に失敗したことで主幹投資家も撤退。 その結果、Netaの評価額は2023年時点の423億元からわずか60億元(約828億円)へと激減しました。
現在Netaは累積赤字18.3億元、サプライヤーへの債務6億元を抱えており、一部は株式転換と分割払いでの返済を提案。さらに、タイでは現地生産要件を満たせなければ補助金の返還義務も発生するなど、多方面にわたる財務リスクが浮上しています。
それでもNetaは、**一部の技術資産や中国市場における知見を保有しており、**3月にはサプライヤーとの債務株式化契約や、香港・タイからの資金支援も得ました。
こうした背景のもと、トヨタがNetaの技術・拠点・ネットワークを活用し、自社のEV事業を中国で加速させる狙いがあるのではないかという憶測が広がっています。ただし、トヨタ中国広報の徐一鳴氏は「そのような話は聞いていない」と否定しています。
Netaは2024年の販売台数が6.4万台に留まり、2025年1月には前年比98%減の110台まで急落。技術の遅れや性能誇張も指摘され、創業者・方運舟氏がサプライヤーらに土下座謝罪する映像が拡散されるなど、ブランドイメージも大きく傷ついています。
それでも、トヨタが中国EV市場での存在感を強めるには、こうした苦境ブランドの“再生買収”が戦略的に意味を持つ可能性もあり、今後の動向から目が離せません。